木工中級講座開催の様子 -後編-

こんにちは、指導員の浦上です。
早いことに6日間で開催してきた中級講座が先日終了しました。以前よりも基礎の仕口作りに取り組む内容となりましたがいかがだったでしょうか。引き出し作りには外箱に対し抽斗ひきだしをしっかり収める必要がありました。
後編では完成に向け取り組む様子をお伝えします。



まずは前回のおさらいです。
鋸で切った部分をのみではつっていきます。

取り方は様々。
今回は1寸幅と6分幅の鑿を使います。

まずとっていくのは胴付き線まで。胴付きというのは凹凸が入る奥行きを決める線です。これを取り過ぎると深く入りすぎたり、残してしまうと浮いてくる等色んな問題が出てきます。「胴付きは墨線まで確実に」鑿の扱いを思い出しながら、皆さん慎重に作業に取り組んでいました。

    前回の木釘の出を鋸で取り除く様子。

    あられの横幅は慎重に取っていく。



加工線まで鑿で取れたら仮組をします。

自分の墨付けと加工精度の答え合わせ。
泣いても笑っても見える物が全てです。

仮組が終わって接着の前に外箱内側の面を仕上げていきます。まずは鉋をかけ、フレッシュな面を出します。
次に抽斗の上2段を吊す為の吊り桟という棒材を取り付けます。この吊り桟は左右の側板に取り付けるのですがどちらも平行に付けていかなければなりません。ズレないように慎重に…

接着の前に抽斗に対して吊り桟が正しく取り付けできているかを確認します。片側ずつ抽斗の溝に吊り桟を滑らせてきつかったり抽斗同士が干渉する場合はこの時点で調整を行います。

調整が終わればいざ接着です。互いに干渉する部分全面にしっかりとボンドを塗布していきます。仮組の時点で接着をし易い順番をイメージしておくことが大切です。塗り残しがないようにひとつひとつ確認しながら行います。

接着するためにはクランプが必須です。正しい取り付け方をすることで強く圧着することが出来ます。

加工精度によっては直角が取れないことも。
このタイミングであれば若干の修正をすることは出来ます。

最終日の工程は抽斗の調整と取っ手付けです。
上から1段ずつスムーズな出入りになるまで調整を続けます。削っては入れ、削っては入れ…微妙な調整が続きます。抽斗は気温や湿度にいって膨張と縮小を繰り返し、また内容物によっては重みで沈んだりもします。それら全てを見越すのは大変ですが余計な隙間を作らず、出し入れがし易い程度で収めておけばよいです。



今回の取っ手はアーチ状になっています。

取り付けはシンプルなのですがちょっとした
工夫で見栄えよく取り付けることが出来ます。



完成の姿が少しずつ見えてきました…!

本講座の一番の課題である「あられ組」は箱組の基本的な仕口となりますが、正しい墨付けと精度の高い加工がなされてはじめて効果を発揮する仕口となっております。簡単そうに見えて道具の扱いをしっかりと身につけておく必要があるんですね。また抽斗の調整においても正しい場所を見つけて削るという中々難しい作業にも取り組んでもらいました。奥が深い指物の世界。また是非やりましょう。

皆様6日間お疲れ様でした。ありがとうございました!

担当:浦上・水瀬