「くりもの教室」開催しました。
こんにちは指導員の浦上です。
今回はノミ・カンナといった手工具だけでお皿を2枚つくる教室を開催しました。
指物・挽物・刳物など様々な技法がある木工ですが、その中でも塊から形をくり出すという最も原始的で自由度の高いのが「くりもの」と呼ばれる加工法の一つです。3日間ひたすらに形を作り出す作業となりますが、皆さん頑張って参りましょう!
くりものは自分のイメージを木に移し込みながら形を作っていけるので、ある程度の道具が揃えば誰でも取り組めるジャンルです。しかしその自由度の高さ故に作品の形が迷走してしまいイメージした形から離れてしまうこともあります。そこで前もって作品の形をイメージ出来るようにデッサン・模型・型板を用意しておくことで完成型が見えやすい状態にしておくことが大切です。
「鳴り止まない切削音。
気がつけば木くずの山が現れている」
形がイメージ出来れば、次に気をつけることは加工する順番です。表裏どちらから削るのか、どこまで削って次の段階にいくのか。それらのタイミングにメリハリをつけることで形を見失わずに次の工程に進むことが出来ます。
四方反鉋という道具で見込みと呼ばれるうつわの窪み部分を削っていきます。鉋は刃の当て方次第で綺麗に削れ、鉋の摩耗にも大きく差が出てきます。最初は難しい道具でも少しずつ感覚を掴んでいきましょう。
糸鋸でふちを切り、裏側に切り込みを入れてノミではつります。ノミで叩くことをするときは材料に対して気をつかわなければなりません。木目の方向によって叩き入れ方を調整しながら、必要ない部分を粗くはつりとっていきます。
ノミで削り終えたら再び鉋で最終的な形まで削り込んでいきます。円形の形を削る際に必ず出てくるのが「逆目」という木肌がめくれるようになる現象です。これを回避するには材料をよく見て逆目となる場所を削らないようにしていく必要があります。
くりものは主に手工具だけを扱って作品を作り出していく為、その手工具の扱い方やコツなどを学ぶ上ではもってこいの技法です。この修行のような一連の作業を3日間かけて大小二枚のお皿が形となっていきました。
刃物の仕上げが終わればやすりがけをして肌を整えていきます。番手によって得意とする仕事が変わるやすりがけ。
研磨力と持続力の高い人造のものから天然のペーパーと呼ばれる100%天然素材のものまで様々な物がある奥が深い工程でもあります。
最後の塗装は天然塗料の柿渋と鉄媒染と呼ばれる草木染めの一種で黒い色を定着させる手法を行いました。
今回使用した材料「クリ」にはタンニンという成分を多量に含んでおり、そのタンニンと媒染液を反応させて色をつけることができます。やり方次第でラインを引いたような模様もつけることが出来、皆さん色んなバリエーションのお皿が出来ました!
今回のくりもの教室はいかがだったでしょうか。途切れない集中の中ひたすらに削り込んだ3日間となったと思います。原始的な技法ではありますがコツをつかむと色んな物が作れそうな気になりますね。是非今後も自分の理想の形を追い求めてください!ありがとうございました!
栗・刳・くりもの 7/2.9.16 開催 担当:浦上