くりもの2nd 開催しました!
こんにちは、指導員の浦上です。
今回もくりもの教室を開催しました。前回とは打って変わって、今回のテーマは「民芸チック」として鑿をメインに使用し、味のある作風を残した仕上がりを目指しました。
刳りものとは木の塊から手工具を使って削り出し、器などを作る技法です。取り組みやすい反面、きちんと手順を踏んでいかないと迷走しやすくもなります。今回も大きな栗の木をどのような手順で形にしていくのか。どのようにして民芸のような作風にするのか。そもそも民芸とは?そんなとこからスタートした今回の教室の様子をどうぞ。
↑まずは作品のサイズ感を決めるために印をつける作業を行います。縁の厚みとドリルであける位置を見える化するのが目的です。
←材料は国産の栗。半乾燥材の為、重みがありますが刳り物をするには丁度いい状態です。
今回は厚みがあるのでボール盤を使い、深さ決めと繊維を断ってノミで削りやすくしていきます。一枠空けて削りを繰り返していき、1日目はひたすらに荒堀が続きました。
↑1日目終了後のゴミ箱に大量の木くず
くりものとは粗い作業が続くように見えて実は繊細な意識が求められます。刃が深く潜らないよう、長い木くずを出すようにノミの角度を一定にし、はつっていきます。集中力との戦いでした。
2日目は前回の荒堀の続きで、底を綺麗にさらう前に内側の縁の繊維を断ち切っておきます。そうすることで底をさらう際に繊維が抜けずに綺麗に仕上がります。
部位によっては水で濡らして一回を薄く少しずつ削り落としていきます。栗というのは切削し易いですが、肌が荒れやすい難点もあります。
縁を削り終えたらいよいよ底さらい。ドリルの錐の後がなくなるまで耳が立たないように研がれたノミで少しずつ削っていきます。ここでもノミが刺さらないように慎重な作業が求められました。最終的には右写真の様に綺麗に仕上がり、ノミだけで仕上げた独特の風合いが残ります。
最終日は一気に完成に向かいます。まずは隅を切ります。鋸で線の上を真っ直ぐ切る。簡単なようで難しい!
隅を切ると形が見えてきましたね。
最後の工程削り込み。ここでは美しく見せるではなく、木を見て肌を見て材料の持つポテンシャルを活かすように削っていきます。民芸を作っていた職人さんは日用品として多量に生産をしていましたがその中に独特の美しさがあるものを日々生み出しておりました。今回はその風合いをあえて作り出すようにして仕上げていきます。
角を取る作業も、丸面を作るのではなく自分が使う上で丁度いい具合に落ち着かせていく様にして削ります。魅せる作品でなく使うモノとして皆さんそれぞれの味として仕上げていきました。
ゴールは自分が納得するまで!それぞれ独特の風合いを残した隅切り盆の完成です!
3日間お疲れ様でした。民芸チックという難しいテーマでしたがいかがだったでしょうか。
大きな木の塊を刳り出すという大変な作業が続きましたが想像よりもテンポ良く作業が進んで2個目3個目と製作が捗った人も沢山いましたね。ノミを扱うというのは難しいですが木と向き合ってものづくりをしていくには必須となる道具でした。くりものの楽しさを感じてくれたら幸いです。
今年も様々な教室にご参加下さった皆さんありがとうございました!
来年もよろしくお願いいたします!
担当:浦上